『マイディアミスター~私のおじさん~』
近年最も心に残った作品です。人生ドラマ(一生モノの最高作品)と呼ばれるのがわかります。
タイトルだけ聞くとおじさんと若い女の子のラブストーリー?と思いそうですが、とんでもありません。
過酷な人生を孤独に歩んできた一人の女性と、会社での理不尽や家族とのすれ違いに諦めを感じ無味乾燥に生きるおじさん。
そんな2人が出会い、回りの人たちも絡みながらお互いの人生を癒やしていくヒューマンストーリーです。
『マイディアミスター~私のおじさん~』の感想
圧倒的な貧困、孤独、差別でいっぱいの真っ暗な世界と、優しく温かい、時にはうるさいくらい人との繋がりがいっぱいの光の世界。
その激しいコントラストがだんだん混ざり合い、次第に光の方が増していきます。その光は決して眩しすぎることなく、柔らかく温かいのです。
人と人との繋がりは、ある人には明日を生きるエネルギーになり、ある人には負担になったりします。
このドラマではそのどちらも丁寧に繊細に描かれていて押し付けがましくありません。
あくまで「灯」のように表現されているのが心地よく穏やかに観ることができると思いました。
序盤はジアンの境遇があまりにひどく彼女自身もすさんでいます。無理もないと思う境遇です。
ドンフンの静かな優しさやドンフン家族、地元の人々の、時におせっかいな関わりが頑なだったジアンの心を次第に開かせ始めます。
ドラマ中盤で初めてジアンが微笑むシーンは、痛くて嬉しくて思わず涙が溢れました。
ドンフンの携帯に仕込んだマイクで盗み聞きしている時、通話内容だけでなくドンフンが電話を持っているとき全ての会話を聴いているジアン。
狭く汚く寒い部屋の中、薄い布団で寝ている祖母のそばで膝を抱えながら、ジアンはドンフンの会話をイアフォンでじっと聴いているのです。
友人と楽しく食事している時の会話、ふとしたため息、歩いているときの息づかい、夫婦の会話…素のドンフンを誰よりも身近に感じてしまった彼女はドンフンに惹かれていきます。当然ですよね。
電話を通して聴こえるイ・ソンギュンさんの低く穏やかな声が、セクシーでありながら深い安心感を与えてくれて、この役は絶対彼しかできないと思いました。
実際、監督も声でこの役はイ・ソンギュンさんとすぐに決めたそうです。重低音な素敵な声は、韓国ではしばしば真似をされるほどなんですよ。
イ・ソンギュンさんの声にどれほど癒されたことか。颯爽とした役から、今回のドンフンのように抑えた演技まで、どんどん引き込まれる演技をされる方でした。
本当に悔しいです。
ジアンはこの2人の関係を恋愛だと思いたかったのですが、ドンフンは共に闘っている”同志”のような関係だと、最後まで冷静に理解していたところも素晴らしかったです。
ドンフンは裏切られても傷ついても人への情を持ち続けます。会社では同僚を思い家族を思う彼の誠実な人としての魅力は、物語が進めば進むほど人としての在り方、深みを増していきます。
個人的な思いとして、こんな素敵な人に出会いたかったなぁと強ーく思います。イ・ソンギュンさんの“アジョッシ(おじさん)”の魅力にハマること間違いありません!
ジアンの変化と共に、ドンフンを含め三兄弟もそれぞれの問題に正面から向き合い、プライドやいいわけを捨て前に進む決心をするところも、清々しく心からよかったと感じました。
『マイディアミスター~私のおじさん~』そのあらすじは?
大手建設会社で働くパク・ドンフン(イ・ソンギュンさん)は、大学後輩が社長という肩身の狭い立場でありながら真面目に働いています。
ある日契約社員で多額の借金を抱えるイ・ジアン(IU)は、社長のト・ジュニョンにお金を貰いドンフンを陥れ退職させるために、ドンフンの携帯にマイクを仕掛けたりわざと彼に近づいていきます。
実はジュニョンは、大学の後輩でもあるドンフンの妻と不倫をしていたのです。
彼らの思惑を知らないドンフンは、ジアンが体の悪い祖母の介護をしながら借金を返済していることを知り、少しずつジアンを助けるようになっていきます。
冷たく孤独な人生を歩んできたジアン。最初はドンフンを陥れるために始めたことでしたが、その盗み聞きによってドンフンの人柄や真の姿を知ることになります。
彼の優しさに触れることで心が揺らぎ始め、初めて人の温かさを知っていくのでした。
人生ままならないドンフンの兄弟たちも巻き込んで奇妙な絆が生まれます。
『マイディアミスター~私のおじさん~』のOST
生きることへの深み、切なさを感じさせるOSTが多く心に沁みます。
Sondiaga「大人(Grow)n ups」
ドラマの印象的な場面で何度もかかった曲なので、今聞いても胸がギュッとなります。ジアンの過酷な環境を思いだして、その後次第に人の感情を持っていくジアンを思いだして泣けてきます。
ジェフィ「Dear Moon」
いつも低い声でジアンを優しく照らす月のような存在である、ドンフンのことを歌った曲です。
チソン「森」
ジアンの心に光がさし、踏み出す新しい一歩へのエールのような曲になっています。
『マイディアミスター~私のおじさん~』のまとめ
一歩引きながら人を思いやる温かさ、限界まで試すことなく生きてきた自分、人と関わることの力の強さ深さ、人生に必要なものを色々見せてくれるドラマです。
派手さはありませんが、心の深いところに静かに沁みていく。『マイディアミスター~私のおじさん~』はそんなドラマです。
このドラマで、主人公2人を演じたIUとイ・ソンギュンが大好きになりました。
心からおすすめのドラマです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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